15

34/34
前へ
/200ページ
次へ
「ヤバい。どうしよう...」 マリアは青ざめた。本日何回目であろうか。 「仕方ない。マリア、最終手段といこう。貴重品は所持しているね?」 肩に提げたゴールドのポシェットをマリアは優星に見せた。 「もちろん」 「よし、行こう」 優星はマリアの手を引っ張り、ドアノブを回し、廊下へと戻った。 「走るよ。僕は速いけど、大丈夫かな?」 「大丈夫。私もわりと足には自信あるから」 「そう?じゃあ、行くよ」 二人は疾走した。 道すがらで数人とすれ違ったが、皆、そのスピードに思わず目を丸くしていた。 走りながら、マリアはまだ衣装のままであったことを思い出した。ちょうど『La reine』の楽屋前に差し掛かったためでもある。 それとなくマリアは楽屋に目を遣った。すると部屋の前に、あるメンバーが立っていた。 ルナだ。 すれ違いざまに、マリアはルナと目が合った。 底意地の悪そうな目つきで、ルナはほくそ笑んでいた。 そうか。そういうことだったのか。 でも、もうどうでもいい。 さようなら、「La reine」。私の黒歴史を刻んだ、栄光のグループよ...。
/200ページ

最初のコメントを投稿しよう!

137人が本棚に入れています
本棚に追加