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2.すっぽかしても、いいわよね?
「あーっ、疲れた!」
式の後はフラスキーニ伯爵家へと移動し、案内されたのは私個人の部屋だった。
「まぁ、立派な部屋ですね」
リルクヴィスト家からそのまま私の侍女として来てくれたクラーラが感心したように部屋を見渡す。
そんな彼女の真似をしてぐるりと部屋を見た私は、部屋の奥にとても大きなベッドがあることに気が付いた。
“ここに、ベッド……”
夫婦の寝室は別にあると説明されたものの、私に用意された部屋に設置されたそのベッドを見てなるほど、と頷いた私はドレスのままぼすんと飛び込む。
「ちょ、リネア様!」
「ん、いいじゃんいいじゃん」
そのままごろりと寝転がるとふかふかのベッドが疲れた体に心地良い。
“ここにベッドがあるってことは、夫婦の寝室へ行かなくても寝られるってことね”
そしてそれは逆に言えば夫婦の寝室へは来るな、とも捉えられる。
「もしかしてロベルトの想い人って未亡人じゃなくてこの家のメイドとかだったのかしら?」
身分差のせいで結婚出来ず、だが嫡男であるロベルトは結婚する必要に迫られて今回のお飾り婚に繋がったのかもしれない。
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