最終話:微睡みの先の重ねる時間は

5/5

317人が本棚に入れています
本棚に追加
/47ページ
 乗馬というのは全身運動だ。  その先に待つ未来は今以上の疲労と全身を襲う筋肉痛、そこにロベルトの笑顔があったとしても。 「せ……て、……て」 「? 起きたのか、リネア?」 “せめて、せめて予定はっ” 「大丈夫だ、側にいるから安心して眠れ。まだ夜明けは遠いからな」 “一日ひとつずつにしてぇ……ッ!” 「あぁ、わかってる。わかってるからな」  ちゅ、と額に口付けたロベルトが再び私をぎゅうっと抱き寄せると、安心感に包まれる。 “あぁ、ロベルトの『わかってる』が、どうか私の願いを『わかってる』でありますように”  結局私は彼の温もりに促されるように、頭の奥で必死にそう祈りながら眠りに落ちたのだった――。
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

317人が本棚に入れています
本棚に追加