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「バカなことを言ってないで、着替えますよ! これから初夜なんです。身も清めなくちゃですし、夜着だってレースいっぱいの……」
「んー」
張り切っているクラーラを眺めながら私はのろのろと上半身だけ起き上がって。
「初夜はすっぽかすわ」
うんうんと何度も頷きながらそう断言すると、愕然としたクラーラがあんぐりと口を開ける。
「……は?」
「だから、すっぽかすわ。初夜」
「初夜をすっぽかすのは大事故すぎませんか」
“でも、夫婦の寝室に行ってもいないだろうし”
私たちはいわば利害一致のお飾り婚。
与えられた部屋に寝室まで完備しているのだから尚更私が夫婦の寝室に行く必要性は感じない。
それどころか万が一噂の想い人とロベルトが一緒にいたら……と考えると、それこそ大事故にも程がある。
「うん、やっぱりすっぽかすのが正解よ! クラーラ、夜着はふっわふわで暖かさを重視したものを出して」
「すっけすけのレースでエロさを重視されません?」
「それは暖炉に放り込んで」
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