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“くっ、まさか私がぐうたらしていた間に休みのために頑張ってたなんて”
まさしく『蜜月』を過ごすために頑張ってくれたらしいロベルトを見れば、流石の私も少しは努力しようと思うというもの。
“だからこうしてロベルトの希望通り街に来たんだけど……”
チラッと視線を移した先に見えるのは試着したドレスが積み上げられたテーブルである。
ざっと見積もって約20着――
「リネア、このレースのグローブ似合うんじゃないか? ちょっとさっき着たドレスとあわせて見たいからもう一回試着してみてくれ、全部」
「全部!?」
リルクヴィスト家の家門が入った馬車で出掛け、どんな美形が降りてくるのかと期待の視線を一身に浴びながら登場し「なんだ、メイドだったか」とガッカリされすぎたせいで着飾る意味を見失っていた私に、20着のエンドレスリピートは辛すぎる。
“もう帰りたい……”
だが物凄く真剣に私のドレスを選ぶロベルトを見ると、断ることも忍びない。
しかもそもそもを辿れば私が初夜をすっぽかしたせいで、関係構築のための時間をこのように取っているのだ。
いわば自業自得というやつで。
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