5.やり直したい、あの夜を

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 ……それに。 “なによ” “なによなによ” 「んんんんんんんんん」 「そんなに頑なに……?」 “こんな気持ちになるなんて知らなかったんだけど” 「んんんんんんんんんんんんんんん」 「拒絶しなくても、いいじゃない……って、リネア、俺はっ」 “相手から拒絶されるのがこんなに辛いだなんて”  ――私は、全然知らなかったから。  ゆらりと視界が歪み、世界が滲む。    ロベルトなんて、別に好きじゃなかったはずなのに。  お互い利害一致しただけのお飾り婚だと思っていたはずなのに。  幼い頃の思い出だって、別に美しい恋物語でもなんでもないのに。  それでもロベルトから婚約の申込みに飛び付いたのは。  ぐうたらな私がなんだかんだでロベルトについて行ったのは。  拒絶されたことよりも、“私が”拒絶したとロベルトが傷付いたことが辛いのも。  私の口を塞ぐロベルトの手のひらを軽く引くと、いとも簡単に解放される。 「ロベルトと同じ気持ちかなんてわからないわよ」  だって、恋なんてそんなのしたことないもの。 「だけど、同じ気持ちならいいなって思うの」 「リネア……?」
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