5.やり直したい、あの夜を

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「婚約申込みの返事、『喜んで』って書いたでしょ。お受けしますじゃないわよ、喜んでって私は書いたの」 “お飾りでも良いと思ったの”  だってロベルトは、地味な私でも、ダメな私でも、ぐうたらな私でもガッカリなんてしないから。  いつも『私』を真っ直ぐ見てくれる人だったから。 「やり直せるならやり直したい。貴方を傷付けたあの夜を」  毎日ぎゅうぎゅうに予定を詰めるんじゃなく、少しずつ時間を重ねるように思い出を作りたい。  だってこの1ヶ月の休みだけじゃなく、私たちにはまだまだずっと沢山一緒に生きる時間があるのだから。  再びロベルトへとゆっくり顔を近付ける。  勢い余ってぶつからないように、慎重に。    ロベルトの手で防御されないかと一瞬不安になったが、どうやらその心配は杞憂だったようで。 「……ん」  ちゃんと触れる彼の唇は、緊張で少しかさついているようだが思ったよりも柔らかく、そして私の胸を焦がすように熱くさせたのだった。
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