1.幻想の三女

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 むしろ『忙しいため会いに行けない』という手紙が送られてきただけマシなのではないだろうか。 「それでこそお飾り婚って証明よ」 「ですが」 「クラーラも言っていたじゃない、ロベルトにはずっと想い続けてる相手がいるって」  相手からフラれ続けて婚約者がいなかった私とは違い、噂では『想い人がいたから誰にも結婚を申し込まなかった』というロベルト。  私と婚約したことがキッカケで表向きにはその想い人=私になってしまったものの、実際はそうではないのだから会いに来ないのも当たり前。 “婚姻こそ私と結ぶことになったものの、時間があるなら本物の想い人に会いたいものね”   「私と婚姻を結ぶことになったってことは、本物の想い人とは結婚できないのよね。未亡人とかだったのかしら」 “まぁ、理由が何であれこれで私は勝手にガッカリされることも親の圧からも解放されるし”  政略結婚がほとんどの貴族に生まれたこともあり、愛されていないことは些細な問題だと思った私は、クラーラが精一杯飾ってくれた自分のそのウェディングドレス姿に満足したのだった。
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