1.幻想の三女

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 父のエスコートで会場に入場した私は、そこで初めて大人になったロベルトと再会をする。  黒髪の短髪が凛々しく深緑の瞳が思慮深そうに見える。  幼い頃の朧気に覚えている彼よりもずっと大人びた彼の横顔。 “少し表情が固いのは緊張してるからかしら?”  ぐっと結んだ口元を盗み見ていると、私の方へ真っ直ぐに向き直った彼と目が合い、するとすぐにホッとしたようにロベルトが口元を緩めた。 「っ」  その表情が幼い頃の彼と重なり、私の胸が高鳴るが―― “私はお飾りだって忘れないようにしなくっちゃ”  そう気を引き締めた私は、ここまでエスコートしてくれた父の腕からそっと離れ微笑む彼へと歩み寄ったのだった。  
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