吐き出しちまいなよ、ベイベー 2

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吐き出しちまいなよ、ベイベー 2

 フラを長年やっておりました。今も継続していると言いたいのだけれど、フラはねぇめちゃくちゃお金かかるんですよ。  レッスン代、イベント参加費(お礼をもらえるようなステージは、また別の話)、衣装代……。  働いたお金をつぎ込める環境ならいいけど、そうもいかないとなるといろんなお誘いを断らなきゃいけなくて、それもまたつらい。  踊っている間はとても楽しいんだけど、そのはざまがストレスで、いつか自分のお金を全部自分につぎ込める歳になるまでスッパリ辞めることにしました。  めちゃくちゃストイックにレッスンしてたんだけどな……。けっこう上のクラスまでいけたしすごくもったいなかったんだけどな……。と、時々うらめしさが出てしまうので、今は別のことに完全集中しています。そう、書くことです。  ただ書くことも、今の境地になるまではあれやこれやと周りをうらやむこともありました。特に今は、昔と違って無料の投稿サイトで披露できる機会がとても多いから、井の中の蛙だなあと思うこともしばしばで。  投稿サイトをふたつに減らして書くことに落ち着いてからは、その辺すごく穏やかになりました。ランキングに一喜一憂しすぎず、のびのびと書けているような気がします。  もともと承認欲求はとても強い人間です。物心ついたときから、自分を見てほしくてたまらない。頑張っている自分、独りぼっちの自分、我慢している自分を褒めてほしくてたまらない。  母に怒られた数時間後、部屋の隅にバスタオルの仕切りで一人反省部屋を作ったのを見せて、こうやってちゃんと反省していますというアピールをしたことがあったっけ。  芝居をする部活に入ったのも、オーディションを受けたのも、ダブルワークも、フラも、小説も、どれも誰かにちやほやしてほしいから、という理由で続けていたと思う。  そこまでやらなくてもいいのにストイックに頑張って、誰かに止めてもらいたい、みたいなアクセルとブレーキの連続みたいな思考回路をしている。  少しだけ変化したと思うのは、それらの中で、書くことの位置づけが原点に帰ってきたことかな。  単純に書くことが好きという気持ちが、自分の中に蘇ってきたような気がする。前述の通り、穏やかになってきたというか。  小学校でボスの女子にいじめられて、教室へいかずに図書室へ直行していたあの頃の、本の中の世界に入ってわくわくしていたようなあの頃の気持ちが、巡り巡ってもう一度自分に戻ってきたような、そんな感じで文字をつづっています。  そこには難しいメソッドも理論もない。自分が書きたいと感じたその湧き上がる思い。それがすべてなんだ。
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