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「なぁ翡翠」
学校に行こうと猪さんに乗ったところで瑠璃お兄ちゃんに声をかけられた。
「理事長になんか変なこと言われてないか?」
「変なことって?」
僕は首を傾げる。理事長が変かどうかと言われるといつも変だ。変じゃないときなんてない。
「まぁ十二月だし、理事長が変なこと言いやすい時季だからさぁ」
「そう言えば瑞希先生もそんなこと言ってたよ。十二月に何かあるの?」
「うん……まぁ……そのな……お兄ちゃんが責任感じなきゃならないことがあるんだよ……でも翡翠はお兄ちゃんが守るから!」
「じゃあ安心だね」
僕はそう返して猪さんを走らせる。瑠璃お兄ちゃんは何か言いたそうだったけど、待っていたら遅刻しそうだったから。
途中でフーフーとスイスイを見つけて猪さんに乗せる。フーフーは興奮気味だ。
「翡翠見ろよ! 伊織先生とこのにょたチョコ男子のクリスマスグラビア! お父さんが買ったやつ持ってきたーー!」
「えーー! 瑠璃お兄ちゃんもいる!?」
「いるいる! 瑠璃お兄ちゃん可愛いよ!」
フーフーは僕にそのページを見せてくれるミニスカサンタの瑠璃お兄ちゃんは満面の笑みを見せてポーズをとっていた。
「いいなぁ。僕もこんな衣装着てみたい!」
いつも猪さんの上では居眠りしているスイスイも興奮気味だ。
「衣装のデザインは束砂お姉ちゃんがやってるって瑠璃お兄ちゃん言ってたなぁ。瑠璃お兄ちゃん以外は?」
「みんないるよ!」
良お兄ちゃんに香多お兄ちゃん、げたんわお兄ちゃんにタッくんに五丁目さん。彼らは伊織先生のスタジオじゃもうスター扱いだ。みんなそこそこ残念なの僕はもう知ってしまったけど、確かにみんな可愛い。
「せっかくにょたチョコ男子になったんだから可愛い格好したいよね」
もちろん今日も僕らは女体化している。なんたって女体化していると猪さんのスピードが増すから遅刻しないのだ。
「でもグラビアアイドルって大変なんだろうなぁ」
僕が呟くとフーフーが不思議そうに僕を見てくる。
「伊織先生んとこのにょたチョコ男子はそれだけじゃ……」
「風、それは駄目だよ」
「そうだった……」
フーフーはスイスイにたしなめられて黙ってしまった。一体何があるのだろう?
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