プロローグ「私」

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プロローグ「私」

ここはピーストリア学院。 全寮制の小中高大一貫の学園。 私はこの学院の中等部に通う、中等部3年生の一瀬瑠華。歴史学が大好き。 中等部の生徒会長を務めている。 「……悳、この仕事やった?」 生徒会理事で幼なじみの、三条悳。 悳はかつて絶大な権力を握ったとされている、三条守之助の子孫らしい。歴史の教科書にも載っていてるとても高名な人だ。 そんな人の子孫である悳は、少し気だるそうにしていた。 「……んー、その仕事ならやったよ。俺は別の勉強するわ。」 そう言って悳は医学の本を取り出した。生徒会室は基地じゃないのに。 「……分かった、ありがとう。」 私は大きな書類を取り出した。 「……ねぇ、アナ。この仕事、一緒にやらない?」 ジュリアナ・リーシュ。 アメリカ人の幼なじみ。 私は親しみを込めて、アナと呼んでいる。アナも生徒会理事。 「うん、いいよ!」 アナはアメリカ人だけれど、日本にしか住んだことがないので、日本語を流暢に喋ることが出来るらしい。 “キーンコーンカーンコーン” 「……あ、チャイム」 下校のチャイムが鳴る。 「もう終わりだ、お疲れ様。」 生徒会顧問の安斎啓介先生。 「瑠華、頼んだ仕事はやったか?」 「はい、ここに置いてあります。」 私は山ほど積まれた書類を指差した。 「……おお、ありがとうな。ジュリアナに悳もお疲れ様。」 「……どうもー」 悳はぶっきらぼうに答え、生徒会室を去っていった。 『当然の事です!』 アナと声を揃えて言った。 『……ハモったー!!』 私とアナは笑ってしまった。 「……頑張ったな、お疲れ様。さ、もう帰りなさい。さようなら。」 『さようならー!』 私達は校門を出ていった。
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