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翌日
私の左手の薬指に嵌められた指輪を、目ざとく見つけた上村さんがデスクに座るなり聞いてきた。
「寺本さん、可愛い指輪ね!
左手の薬指って事は彼氏から?」
私は驚きつつも、隠すつもりもないので素直に答えた。
「はい、結婚を前提にって。」
「やっぱり!束縛の塊みたいな指輪だもん!
彼氏の想いが詰まり過ぎてる。」
「詰まり過ぎって。」
「婚約指輪は?」
「2人で買いに行こうって言ってくれたんです。」
上村さんには話した訳ではないのに、察しがいいらしく気づいているようだ。
上村さんは小声になって言った。
「これで係長も誘わないと思うわよ。」
やはり、上村さんは課長から聞いていたようだ。
それから係長からは誘われなくなり、上村さんの予言は的中した。
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