夢での再会

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夢での再会

 それからユウナギは朝から晩まで祈りを捧げ続けている。御神体の前で一心不乱に舞ってもみた。それでも先代女王のように、神の依巫(よりまし)にはなれなかった。  彼女は毎晩、失意の中、床に就く。そして毎晩夢にうなされる。この日もまた戦の夢であった。人が次々と殺され、自分も恐怖に耐えかね逃げ出すが、すぐに敵兵に捕らえられ刃を向けられる。もうだめだと思った瞬間、彼女の立っていた地は抜け、地底に吸い込まれていく感覚が――――。  気付いたらそこは、暖かい花畑。 「え? ……あの世?」  そこでユウナギの目先に見えたのは懐かしい、無邪気なコツバメの姿だった。このたびも花冠を作っている。 「コツバメ……!」  ユウナギはとても嬉しかった。久しぶりに友に会えたのだ。しかし、すぐに気付くことになる。 「私を迎えに来たの?」  たった今、自分が生きているのか死んでいるのか分からない。どういう時点にいるのかも。ここはもうあの世なのだろうか。 ――――だからコツバメがいる? これは戦の終わった後? だとしたらみんなは? 死んで離れ離れになってしまったの? 「ずいぶん混乱しておるようじゃな」  それでもコツバメがいる。心強く思う。 「おぬしは死んでおらぬぞ。私がおぬしの夢枕に、立っておるのじゃ」 「夢枕?」  夢だったのか……と一度は安心するが、何も終わってはいない。戦の夢はこれから起こる現実。再び憂鬱に沈む。 「久々におぬしと遊びとうなってな。……と、言いたいところじゃが。おぬしは今それどころではないようじゃの」 「……そうね、今は楽しく遊べる自信がないわ」  コツバメは暗い表情のユウナギに対し、明るく努めようとしている。いや、彼女の元の性分か。 「実を言うとのう、こたび私は、おぬしの手助けにきたのじゃ」 「手助け?」 「おぬしの連れ合いとの約束でな」 「連れ合い??」 「おぬしのために、一肌もニ肌も脱ぐぞ! 来い来い」  コツバメはユウナギの手を取った。その手は温かく、ユウナギは安心して身を任せた。
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