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3:最初の飼い主
新しいご主人様は僕をすごく可愛がってくれた。
広いおうちで、ふかふかのベッドも買ってくれた。美味しいご飯と、美味しいおやつもいっぱいくれた。
広いお庭でいっぱい走って、ボールを投げてくれて、いっぱい遊んでくれた。お散歩も朝と夜毎日行ってくれた。
だけど、僕の体が大きくなるにつれて、遊んでくれる回数も、お散歩に行ってくれる回数も減っていった。
「こんなに大きくなるなんて思わなかった…中型犬だと思ってたんだけど、大型犬だったのね」
「なにを言っているんだ!迎える時に言っただろう?この子は大型犬だけど、それでもいいのかって。それでも、いいよと言ったのはお前の方だろう?」
「だって可愛かったんだもん!どうしてもこの子が良かったの!」
「一度迎えた以上、最後まで面倒を見ないとダメだ!それが飼い主の務めなんだぞ!」
ご主人様は僕のことで喧嘩をすることが増えていった。
(ケンカはしないで!おねがい!)
僕はご主人様に伝えたくて一生懸命吠えた。
「もう!!うるさい!!近所迷惑になるから吠えないで!!」
「おい!そんな言い方はないだろう!この子に当たるな!!」
(…ごめんなさい…僕がうるさくしたから…僕のせいでケンカしているの…?ごめんなさいご主人様…)
「くぅーん…」
結局その後、大きくて育てられないと言う理由で別な里親の元に引き取られることになった。
パパさんはぼくを最後まで面倒を見るってママさんに抵抗してくれたけど、タイミング悪く遠くの場所に“テンキン”することが決まってしまったみたいで、目から水を流しながら謝ってきた。
「ごめんな…本当に…ごめん…っ」
(ご主人様、泣かないで。僕ならだいじょうぶだよ)
優しく僕の体を包み込んでくれるご主人様。
どうしてかはわからないけど、パパさんが悲しんでいると思ったから、慰めるためにご主人様の目から流れてくる水を舐めた。
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