断ひとり

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断ひとり

思い返すと 孤独に生きて来すぎた。 生まれた時から、独りで産まれ、独りで生きて行くんだよといい聞かされ、生きてきた。 小学生の頃から自炊、洗濯、服選び、友達付き合い(結局できなかったが)などひとりでこなしてきた。 一番きつかったのは、独りで寝ることに慣れることであった。 赤ちゃんの頃は川の字で親子3人で寝ていたから、環境が変わると慣れなかった。 20歳の誕生日に両親からサプライズプレゼントを言い渡された。 「誕生日おめでとう!今日からお前は断ひとりだ」 「えっ」 それから、両親はえらく干渉してくるようになった。 彼女も突然出来て、友達もたくさんできるようになった。 昔の同級生も頻繁に連絡してくるようになったり、恩師の先生も連絡してくるようになった。 「あーあ たまに静かに生活したいな」 その一言でゲームストップとなった。 突然部屋の中に、スタッフらしき人が入ってきて、「これでREAL SHOWは終了です」と言っている。 どうやら、独りで生きてきた人生も人付き合いの多い人生も創り物だったらしい。 今日から真の人生の始まりだそうだが、過酷な日々が始まることになりそうだ。 自分自身との決別、こびり付いた心からの開放、自意識からの離脱。 新しい朝に向かい 昨日の僕と今日の僕と明日、明後日てそのまた………Ω永遠に断ひとりはできそうにない。
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