二度目の立ち去り

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 そして、約束した由梨の親に挨拶に行く日、私は年甲斐もなく緊張していた。それを見て、由梨が笑う。 「なーにガチガチに固まってんの。大丈夫だってー。前にも経験あるくせに」 「い、いや、結婚の挨拶なんてもう20年も前のことだし」  あの頃私は、若くして彼女を妊娠させた責任を取りに結婚の挨拶に向かったのだ。結果として、私の子ではなかったが。 「もーなんでこんな時に暗い顔するの! ほら、このままこうしてても埒が開かないから」  そう言って、由梨はさっさとドアを開けてしまう。 「お母さーん、話してた彼氏連れてきたよ」 「はーい」  由梨の母親が小走りでやってきて、白髪混じりの頭を下げる。 「由梨の母です。娘がいつもお世話になっております」 「いえ、こちらこそ……」  こちらも頭を下げ、顔を上げた時、由梨の母と目が合った。 「あ……」 「あなた……?」  それは、実年齢よりも老け込んだ、私の元妻だった。
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