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妻が出産した。
本来ならばそれは、喜ばしいことのはずだった。妻の浮気で揉めている最中でなければ。
早速、産まれた子のDNA鑑定をした。結果、私の子ではなかった。
すぐさま嫡出否認の訴えを起こし、認められた。妻とは離婚し、慰謝料ももぎ取った。
最後に「どうか許して」と私に縋る妻と、その腕の中でスヤスヤと眠る赤ん坊。
……冗談じゃない。私に、他人の子の父親になれというのか?
私は赤ん坊に背を向けて、妻を振り払い去って行った。背後から、妻の泣き声が聞こえる。
短い結婚生活の終焉だった。
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