ナミダ花火

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「うわぁ、きれい」 夏の夜空に咲く大輪の花火を初めて目にしたとき、あまりの美しさに私は涙した。 「鈴華(すずか)、もしかして泣いてるの?」 「……うん」 「ねぇ、どこか痛い?」 「ううん、どこも痛くないよ。花火が、あまりにも綺麗だから感動しちゃって」 隣で心配そうな顔をする幼なじみの大地(だいち)に、私は微笑む。 「ねぇ、鈴華。花火……好き?」 「うん。大好き」 「それじゃあさ、これからもずっと……毎年ここで一緒に花火を見ようよ」 「うん、約束だね」 6歳だった、あの日。 花火が煌めく夜空の下で、大地と指きりをした。 「鈴華。もし約束を破ったら、針千本飲まなきゃだからね」 「えー、いやだなぁ」 「だから、ぜったい約束だよ? 来年も再来年も、10年後も……ずっと」 「分かった」 あの約束をして以来、毎年夏になると地元のお祭りに大地と必ず一緒に行っていた。 それは、いつまでもずっと変わらないものだと思っていた。だけど……。 高校生になった今。 あの約束が果たされることは、おそらくないだろう。 私はもう、大地と一緒に花火を見ることはできないんだ。 なぜなら、大地は……。
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