194人が本棚に入れています
本棚に追加
「は? 彼女……? 何言ってるんだよ、鈴華。あれは、俺の姉貴だ」
「え?」
大地のお姉ちゃんって……。
「うそ!? あの人、夏海ちゃんなの!?」
「ああ、そうだけど?」
夏海ちゃんとは、3歳年上の大地のお姉さんだ。
「夏海ちゃん、会わないうちに随分と雰囲気が変わって……」
私は、ただただ驚きを隠せない。
だって私の知っている去年までの夏海ちゃんは、黒髪でいつもすっぴんで。
オシャレとかは無縁の、男勝りなかっこいい女の子だったから。
まさか、あんな綺麗な女性になってるなんて。
「姉貴今年から上京して、メイクとかオシャレに目覚めたんだってさ」
「そうだったんだ。私、それ知らなくて。ほんと別人みたいだったから、SNSで二人の写真を見ててっきり彼女だとばかり……」
「あー、あの写真。実は、姉貴が最近大学で変な男につきまとわれるみたいでさ。男避けのために、載せて欲しいって言われたんだよ」
そうだったんだ。
「……もしかして、不安にさせちまった?」
私は、こくんと頷く。
「だって大地、最近私がメッセージ送っても全然返事くれないし。その上、あんな写真まで見たら……っ」
私は突然、大地に抱き寄せられた。
最初のコメントを投稿しよう!