194人が本棚に入れています
本棚に追加
「そっか、違うか。……俺は、寂しいけどな」
「……え?」
「鈴華と、離れるの」
私と大地の間を、ふわりと春風が吹き抜ける。
「本当に?」
「ああ。だって俺ら、生まれたときから今までずっと一緒だったんだぞ? そんなの寂しいに決まってんだろ」
ぷいっとそっぽを向いた大地の横顔が、ほんのりと赤くなっている。
照れくさそうにしながらも、ちゃんと伝えてくれたことが嬉しくて。
私だけじゃなくて、大地も……同じように寂しいって思ってくれてるんだ。
「ほっ、本当はね……私も。大地と離れるのは、寂しいって思ってた。そうしたら、なんか泣けてきちゃって」
「……ふ。やっぱ泣いてたんじゃん。ほんと素直じゃないなぁ」
大地に頭をぽんっと軽く叩かれる。
「そんな泣き虫なヤツには、これをやるよ。手、出してみ?」
最初のコメントを投稿しよう!