ナミダ花火

9/21

178人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
──卒業式のあの日から、このストラップは私の宝物になった。 「鈴華、顔にやけてる」 「うそ!?」 レイナに声をかけられ、私は現実の世界へと引き戻された。 「中学の卒業式のときのこと、思い出してたの?」 「うん、そう」 「よっぽど嬉しかったんだね。大地くんに、“俺の一番大事な女”って言われたのが」 ニヤニヤ顔のレイナに小突かれる。 ……大地に、今まで私のことを好きって言われたことはないけれど。 『お前は俺の……一番大事な女だから』 あのときの大地の言葉を、私はやっぱり信じたいって思う。 私は幼い頃からずっと、大地のことが好きだから。 自分の好きな人のことを、信じるよ。 「ねぇ、鈴華。この際思いきって、大地くんにメッセージ送ってみたら?」 「え!?」
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

178人が本棚に入れています
本棚に追加