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サツマイモの、蔓と葉っぱは、細かく裁断され、堆肥にされる。
そして、芋を掘った後の畑を耕す「わぁ~、また出て来た~」
耕していると、時々、堀り残したサツマイモが出て来る。
それを子供達が、喜んで拾って行く。
「麦の場合は、落穂ひろいだけど、サツマイモは、何と言うのかな」
ウィリーが、そんな子供達を見て言う。
「土の中から出て来るから、隠れ芋拾いかな?」アンも、楽しそうに言う。
耕した畑に、麦用の畝を立て、堆肥をどっさり漉き込んで、種麦を撒く。
「来年も、豊作だと良いな~」
からりと晴れた、初冬の空を見上げて、ウィリーが、呟く。
「大丈夫、きっと豊作だよ」何の根拠も無かったが、アンは、そう思った。
「アンが、言うなら、大丈夫だな」ウィリーは、嬉しそうな顔になると
「造船所へ、行って見ようよ、もう、かなり出来上がってると思うよ」と言う
「行きましょ、久しぶりに、皆に美味しい物を、ご馳走しなくっちゃ」
アンも、そう言うと春姫に乗り、ウィリーと一緒に、造船所へと向かう。
「これは、ウィリアム様」「アン様も、良くいらっしゃいました」
リッキーとギリアンが、駆け寄って来て、帽子を取り、挨拶をする。
「随分、進んでいるな~」ウィリーは、あちこち見回して言う。
「はい、皆さんが、頑張って呉れまして」リッキーも、嬉しそうだった。
アンは、ギリアンに、大きなテーブル状の板を、用意させ
その上に、巻き寿司だの、ジャイの葉巻きだの、おにぎり
カレーパン、ホットドック、コロッケなど、手で持って食べられる物を
一杯ならべ「みなさ~ん、一休みして下さい」と、皆に声を掛ける。
「わぁ~アン様の、料理だ~~っ」皆は、大喜びで、我先にと手を伸ばす。
ドーナツや、鯛焼き、アンパンなどの、甘い物も出してやる。
皆は、それも、せっせと食べて、一休みすると
「有難うございました」「ご馳走様でした」と、お礼を言い
「これでまた、力一杯仕事が出来ます」と、自分の持ち場に帰って行った。
造船所を出て、街へ帰ろうとしていると「ウィリアム様~アン~」
と、誰かが呼ぶ、振り返ると、ジリアンだった。
海苔の生育が、非常に良いので、もう刈り取って製品にしていると言う。
海苔生産局へ行ってみると、もう出来上がった海苔が入っている缶が
所狭しと並べられていた。
アンは、そのうちの、一つの缶を開けて、海苔を見る。
艶々と黒光りする、とても良い品だった。
「まぁ、これは特上だわ」アンがそう言うと、ジリアンは
「アンの、お墨付きですね、これで、どこへ出しても大丈夫だ」と
誇らしげな顔で言う。
アンと、ウィリーは、その海苔を、ひと缶ずつ貰って、アンの家に帰った。
「アン、早速この海苔で、海苔巻きを作って呉れ」
と、言う、ウィリーの希望で、その日の夕食は、海苔巻きになった。
何時もの酢飯に、何時もの具材だったが
出来立ての、一番海苔の美味しさで、海苔巻きは
何時もの何倍も美味しかった。
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