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という事で、セグラが、せっせと樽造りに励んでいる頃
カルロも「錨を作り終えたから、もう船の仕事は終わった」と、言って来た。
「じゃ、こんな鉄板を使った、調理器を作ってよ」
と、アンが頼んだのは、タコ焼き器だった。
「何だこりゃ?丸い穴だらけだが?」と、カルロは首を傾げる。
「良いの、この穴が、20個のと50個の二種類を作ってね」
「分かった」と、造って来たタコ焼き器で、早速タコ焼きを焼く。
だが、中に入れたのは、蛸では無く、甘辛く煮た肉だった。
竹串を使って、タコ焼きを、くるくる回して、丸く成形すると
「何と器用な、、」と、スノーとフレイラが、目を真ん丸にして驚く。
そして、出来上がった、タコ焼きを食べて「美味しい!!」と、大喜びする。
「何と、穴だらけの鉄板で、こんな物が出来るとは、、」
と、見ていたカルロも、驚き、ソースとマヨネーズを掛けた物を食べ
「こりゃぁ旨い!!」と、目を細める。
「何だか、ソースの匂いがするけど」と、やって来たウィリーも
「何だ、何だ、この真ん丸な物は?」と、タコ焼き擬きを見て驚く。
「蛸が無いから、肉だけど、とにかく食べて見て」と、渡された物を食べ
「美味しい!!これは、おやつにぴったりだな」
と、言ったウィリーは、お代わりを要求する。
50個焼いたのに、直ぐ無くなり、アンは、また50個焼く羽目になった。
この調理器は売れると、思ったカルロは、家に帰ると
タコ焼き器と、タコ焼きを、ひっくり返す鉄の串を、大量に造り始めた。
その読みは、大当たりだった、アンの家でタコ焼きを食べた者は
全員、家でも作りたいと、タコ焼き器を求めて、カルロの家に押しかけたのだ
そんな皆の為に、アンは、タコ焼きの焼き方の講習会を、あちこちで開いた。
名前は、一応タコ焼きだったが、各家々で、好きな具材を入れて焼く。
子供のおやつにも、父親の酒の当てにも良いと
レイックスから、エルフの国、アーガスでも、タコ焼きブームが起こった。
そんな中、アンは収穫したジャイの葉を、一日乾して、塩を揉み込み
樽に浸けると言う作業を、エルフ達に教え
次々とジャイの葉の漬物樽は、エルフの国の貯蔵室に並べさせた。
美しい花が咲き乱れる、春の真っ盛りに、待望の船は
完全に出来上がり、名前は「第一レイックス号」と、命名され
レイックス国民が見守る中、大々的に、進水式が行われた。
「大きな船だな~」「こんな大きな船は、初めて見るよ」
皆は、その船の大きさに、驚きの声を上げる。
「この大きさなら、どんな嵐の海でも、乗り越えられそうだな」
国王や貴族たちも、満足げな顔で言う。
その第一レイックス号の船長には、リーが命名され、その船長の元
リーに鍛え上げられた乗組員は、てきぱきと働く。
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