蠢爾(しゅんじ)する者

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王為る墓と言うのは外観が余りに一般化されていた。王朝、文明が利器をふんだんに模した地下世界は俺を歓迎していた。「来たか?人斬り抜刀斎レフィル。私はリライアン。夜霧を愛するものだ。」リライアンと名乗る紳士。地下世界をエレガントに仕立て上げたその紳士は白髪のオールバックに縁無しの銀色の眼鏡、紅いタキシードが特徴的でその上からでも、巨軀な肉體の凄まじさが伺えた。「アポが要るんじゃないか?俺が招かれたこの時期のみだろ?あっははっ!」俺は面倒臭く為り、夜霧に手を掛けた。「待て…レフィル。リライアンに勝てると思ってるのか?どんな心当てに依る抜刀に為るか?あっははっ!」フィリトが次元の剣に手を掛けている。俺の首元が宇宙空間に在るように冷め果て、俺は夜霧から手を離し、リライアンの期待値を意識し始めていた。「アポ?アポイントメントか。レフィル…宇宙から直結している。私は墓守りだ。墓荒らしの場合など犬も喰わんだろ?あっははっ!」リライアンの気さくな発言に俺は、涙していた。王でありながら、墓を守る使命感に駆られている。リライアンにはそんな印象さえあったのだ。「済まんっ!とぅーりゃっさい!」俺はしかし、気怠さに死に掛けた。憤り、超神速でリライアンをぶった斬ったのだった。「くはっ!レフィル…私が死ぬときもこの様に斬り捨ててくれ…。」絶滅するリライアン。「お、おいっ!レフィル…気を付けろ!リライアンはこの墓の王だぞ!」絶滅するリライアンを後目にフィリトは俺に縋っていたに違いない。
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