工場産まれのゴッチャ

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工場産まれのゴッチャ

  ゴッチャはとある工場で産まれた。工場にはチワックスやチワマルなどのたくさん犬がいて工場の職員からご飯をもらい、食事には不自由しなかったようだが、出かけたまま帰って来ない事も多かった。 いつものようにご飯を食べていると、工場の職員が洗面台で歯を磨いているのを目にするが、鏡の中に恐ろしい物が映りこむのを発見する。人の顔に犬の体をした怪物だ。しかも、こちらを睨みつけている。ゴッチャは恐ろしくなって工場から逃げ出そうとするが、工場の職員に抑えつけられてしまう。 「ゴッチャが工場から脱走しようとしている。全職員、注意して取り抑えろ」 「見た目はあれだが狂犬病を持っている可能性がある。狂犬病ワクチンを用意しておけ」 「数人がかりでエリザベスカラーを装着するぞ、ここから逃がすなっ!」 「失敗作が、ブギーワン工場からは一歩も出さんぞ」 ゴッチャは多勢に無勢で飛びかかって来る工場作業員たちが恐ろしくなり、必死に牙を剥いた。小さな体ながら、自分より大きな人間に立ち向かったのだ。
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