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前を歩く桃太郎さんの後ろを、付かず離れず速度を合わせてついていく。
追い抜かないでね、なんてダジャレだろうけど、一応追い抜かないように気を付けてみる。
「ねえねえ見て!猫が寝転んでるー」
無邪気に道端の猫を指さすこの人には、これから鬼退治に行くという緊張感はないのだろうか。
それとも余裕の表れか。だとしたら末恐ろしい大物だぞ。
時折見上げてその顔を覗き見れば、ニヤニヤ笑いを浮かべていてすっかり油断している。
この人、気付いていないようだ。
僕が鬼からの刺客だということに。
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