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鬼ヶ島に着くなり、大量の鬼たちが出迎えてきた。
僕はみんなと離れ、遠くから桃太郎さんたちの戦いぶりを見学することにした。
「ひぃーやっほーい!」
奇声を上げて鬼の群れに突っ込む桃太郎さんは、目にも止まらぬ刀捌きでバシバシ鬼を倒していく。
「待てー、鬼のお兄さーん」
この人、普通に強かったんだね。
視線を移せば、猿も雉も鬼を倒している。
あいつら、やる時はやる奴らだったんだ。
なんて感心していたら、
「おい、犬!お前が桃太郎を殺すんじゃなかったのか、あ゛?」
振り向くと大勢の鬼たちに囲まれていた。
「い、いや。あいつ、普段アホな奴を装っていて。全然、隙がなかったんですよ……」
そもそも桃太郎さんを暗殺する気なんてなかった事は、口が裂けても言えない。
「で、どうすんだよ!あいつ、ものすっげー強えぞ」
「い、いや。あれはいくら何でも。僕にも無理っす」
てめえ、ふざけんな!と周りの鬼たちが一斉に僕に蹴りを入れてきた。
なるべく体を丸めて小さくなり、痛みに耐えるしか出来ることはなかった。
段々痛みも感じなくなり、意識も朦朧としてきた頃、
「犬くん、大丈夫か!」
空の方から声が聞こえた。
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