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「いい子だから、ここで待っててね」
「ばいばい」
うん、わかった。
待ってる。
ぼくはいい子だから、逆らうことなく、おとなしくその場を動かずに、ずっと待っていた。
けれどいくら待っても、さんさんと輝く太陽の下、さっきの言葉とともに手を振りながら去っていったぼくの家族は、戻ってくることはなかった。
自分が捨てられたことに気づいたのは、空が暗くなりはじめた中、道行く人が「あの子、昼前からずっとあそこにいない?」とひそひそ話をしているのを耳にしたときだった。
何がいけなかったのか、わからなかった。
言いつけは素直に守ってきたし、できるだけ身ぎれいにするよう努力してきた。
周りがそうしてくれたよう、ぼくも家族が辛そうにしているときは、愛を捧げてきたのに。
ぼくにとってはかけがえのない存在だったあの人たちは、
本当は、ぼくのことなんて要らなかったのだろうか。
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