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「あ、ウーバーかも」  楓が立ち上がる。  室内モニターで配達員に応え、「斗真、ピザ来たよ」と嬉しそうに笑って玄関へ行ってしまった。  一人になったリビングで、はー、と長く息を吐き出す。  楓が、俺のそういう、女関係のこと話すのは珍しい。  なんとなく、楓には女の子と会う日は内緒にしたり、俺からも話題を振ったことなんてなかった。  ――武瑠が余計なこと言うからだ。とりあえず明日の昼飯ん時に、なんらかの謝罪を求めてやる。  がしがしと頭をかいて、武瑠になにを奢らせるか考えていると、ポコン、ポコンと連続で楓のスマホが鳴った。  ソファの隙間に挟まっていたそれをローテーブルに置いてやる。  画面はまだスリープ状態になってなくて、ポップアップ通知が見えた。  『シュン:明日は××駅東口に十九時でいいかな?会えるのすごく楽しみにーー』    ――は?  数秒後、画面は暗くなったけど、それでもスマホを凝視してしまう。  ……シュン?誰?  そんな名前の奴、楓の周りにいねぇし、なんで××駅?微妙に遠くね?……会えるの楽しみ?会う?どこのどいつが―― 「斗真ー!ピザ取りきてーめっちゃ熱いー」  楓の言葉に、やっとスマホから目を離す。 「……今、行く」  ――明日。十九時。  楽しみにしていた期間限定の紅ズワイ蟹ピザの味は、何もわからなかった。  
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