(三)

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(三)

 メグたちが操船室に入るときには抵抗に遭わなかった。しかし入るとテロリストがいた。ただ銃口をこちらに向けたり発砲したりはしてこなかった。  テロリストの手にある拳銃の銃口はメグたちに向けられる代わりに、この船を運行しているアジア系の船員のこめかみに強く押し付けられていた。タガログ語で命乞いをしていたその船員は、白い帽子を被っていたので恐らく船長だと思われた。 「動くな!」  テロリストが日本語で大声を出した。勇ましいセリフの割には声が震えていた。それ以上に船員のこめかみに銃を押し付けている手の方が震えが大きいように見えた。このテロリストも、銃を持つ経験があまりないのだろう。 (続く)
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