そのま白き体、月明かりに染まりて

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「クゥーちゃん...」 ソファーに横たわる彼の背にそっと頬を寄せる。 ブラッシングを終えたばかりのその白い毛並みの中に顔を埋めれば弱いながらも確かな生の鼓動を感じられた。 その温もりの中でこの5年間、ここで過ごした日々は彼にとってどんなものだったんだろうと考えた。 幸せだったんだろうか、私達を家族と思ってくれたんだろうか、そう真剣に考えた。 犬言葉の翻訳機なる物があればそれはわかるんだろうけど 残念ながら人の英知はまだそこまで追いついてはいない。 ただ少なくとも私達母娘はあなたと共にあった。 そう、あなたがいなければ二人の今はなかったんだから…。
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