人間ゲーム

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 父はそれから毎日家にいた。いつも絵を描いて過ごすような人だった。  わたしは、母にもらった折り紙で、花というものを折ってみた。母は薔薇を折ってみせたが、わたしには難しくて、チューリップというものを教えてもらいながら折った。 「みて、クラウド!」  お花だよ、とクラウドの家に自慢しに行った。母も父もたくさん褒めてくれた渾身の花だった。きっとクラウドも綺麗だと驚くはず……。  ところが、クラウドは、チューリップには目もくれず、 「なんだ、それ。女みたいな趣味だな。それより遊ぼうぜ。二人とも隠れて、先にシジマじいさんに見つかったほうが負けな」 と、出かける準備をいそいそとし始め、靴ひもを縛った。  シジマじいさんは当時はまだ翼を作るほどの発明家ではなく、わたしとクラウドとよく遊んでくれていた。かくれんぼをする時は、シジマじいさんは、どうやって作ったのか、何かの触覚のようなレーダーを持って、わたし達を見つけたりしていた。発明品を試すのにも、わたしたちの遊びがちょうどよかったらしい。  クラウドに思ったほどの興味を示されず、わたしは肩を落とした。しょげたまま、かくれんぼをしてみても、シジマじいさんがレーダーを使うまでもなく見つかってしまった。  わたしはチューリップを握りつぶすと、ゴミ箱に投げるように捨てていった。
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