人間ゲーム

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 重い足取りで彼について行くと、白い家が建ち並ぶ街中にやってきた。縦長で、てっぺんは丸くなっている。窓が縦にいくつもあるのをみると、平屋ではないらしい。  迷いそうなほど似たような建物ばかりの間を、彼はすいすいと縫うように進んだ。やがて『GAME STORE』と書かれた看板のある建物に辿り着くと、その扉を叩いた。 「じいさん、薬をくれ」  扉を開けるなり、慣れたように店主をよぶ。どこからか、はいはい、と返事が聞こえた。店主を待っている間に店内を見渡してみると、先ほどあったような羽根が三種類ほど展示され、今、わたし達が着ているような制服、マントなどがハンガーにかけられてずらりと並んでいる。奥には本棚や薬棚、小物が並べられたショーケースなどが並び、何の店か今一つわからない。『GAME STORE』とあったから、てっきり、この世界のゲームソフトの数々が並んでいるものだと思っていた。  店の隅にひとつあった、『SUPPORTER ROOM』と書いてある扉ががちゃりと動いた。目がぎょろりとつき出ていて、白い髭を蓄えた、背の小さな老人が杖をつきながらよぼよぼとやってくる。サポータールームから出てくるとは、なんのサポーターだろう。 「いらっしゃい」 「じいさん、聖が帰ってきたぜ!」  わたしの名前を嬉々としてよんで、彼は店主に報告した。わたしは驚いて彼を見た。この人は、わたしの名前まで知っているのか。
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