親愛なる、あなたへ

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ここは、東京都にある目白坂、、、思いのほか、急な坂道である。 『やはり、会いたい人には、簡単には会えないのかもしれない』 普段の、運動不足を棚上げして、坂道を登りながら、独り言‥‥‥‥。 今宵は、あなたへ会いたくて訪れました。 思えば、物心がついた時から、あなたのことは存じておりました。 きっと、、、生まれて始めて、、、私にとっては、何よりも、尊い存在だと認識していた‥‥‥ なぜだか、いつも見護られていると思っていて、『今日は、どうしても会いたいなぁ〜‥‥』  1人、訪れた‥‥‥。 ‥‥‥‥そう、あなたを見つめながら、心の中で、1人、話をしていた‥‥‥ その数日前‥‥‥ 1年半ぶりに、帰省した。 帰省する度に思うことがある。 『もう、ここは実家では無いな、、、』  親が住んでいるからと言って実家とは私には言えない‥‥。 そもそも、生まれてから、ずっと、同じ土地にとどまって、生きてこなかったことも影響しているのか、 ここが、自分の地元、、、ここが、自分の実家と思える場所がないのかも知れない、、、。 ここが実家、、、という家を、大人になって出た時から、もう、家族とはいえ、別々に生きているのだから、、、 その場所が、人様の家であり、私には、実家とは名ばかりになることも不思議ではないか‥‥‥。 思い癖は断ち切れていなかった。 この数年、帰省する度に、心に波風が起こるようになった。 帰ってくると知った家族が、落ち着かない様子で、、、 喜んでくれているような反面、非日常になる空気を感じながら、やはり、落ち着かない、、、。 自分が、微妙な空気を引き寄せているのは、承知の上だが、会える喜びと、微妙な空気の中に身を置くことが、 正直、複雑な気持ちになる。 四六時中、顔を合わせているのであれば、そんな風に感じることも、あるのかもしれないが‥‥‥ ‥‥家族なのに、住む距離🟰心の距離、、、を感じるのはなぜなのか、、、⁉︎ 仕方ないことなのか、、、これが、普通のことなのか、、、必然なのか、、、久しぶりに、こんなことを考えていた。 皆、それぞれ、自分の人生を生きている。 自分の家庭があったり、自分の世界や仕事もあり、毎日、家族のことばかり、考えて過ごすことなどないのかもしれない。 ある時期から、現実を、なかなか受け入れない1人と、現実重視して細部に渡って見守る1人と、皆から離れているが、 離れているからこそ変化を察知する1人がいて、、、しかし、これは意外と、厄介だと思い始めていたのだが、今回、帰省して、 神棚と、祖霊舎に手を合わせていると、まるで、ご先祖様に、『今回、帰省したのには理由がある‥‥‥ ‥‥‥理解と、共感ができたならば、受け止めてあげなさい‥‥‥』 と言われているように感じてならなかった。 もうどこかで、気軽に帰省できなくなっている自分にも気づき、離れて暮らす親との距離、、、妹弟との距離、、、そして、心の距離。
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