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味方が最大の敵?魔法学校入学試験
すると、校長先生が僕たちの声が届いたのだろうか?怒りで声のボルテージが上がり、聞こえなかった声が届き始める。
「この学校では毎年何人かの死人が出ていますから、しっかりと緊張感を持ってい行きましょうね。それでは皆さん、かつての人たちの勇志を称えて…………黙祷……」
とっさに校長先生の発言に僕は反応することが出来た。なぜなら、校長先生の確実な怒りが伝わってきたからだ。ただでさえ平民というだけで評価が低いのに……これ以上評価を下げるわけにはいかない。目を閉じたら視界が遮られて音に意識が向きやすい世界では、あきねぇも流石に話しかけてこなかった。しっかりと黙祷をしているのだろう。そして、できあがる完璧な静寂…………それが打ち破られるように声が反響する。
「黙祷止め」
僕はあきねぇがそう叫んだのかと思い、ビクッとあきねぇの方を振り向き、ツッコミを入れそうになってしまう。やっぱり、あきねぇもしっかり嘗ての受験者の勇志を称えて、黙祷していたのかと嬉しく思う。しかし、僕の手元に違和感を覚え、パッと見てみるとトランプが配られていることに気づく。しっかりと黙祷しろよと思いつつも、確かここが葬式会場という誤解は解けたはずだが?と首を傾げる僕。
「なんで、トランプをしようとしてるんだよ?」
「だって、ここは去年の受験者たちの死をへの祈りを捧げる葬式会場でしょ?」
校長先生!せっかく誤解が解けそうだったのに、という理不尽な怒りで校長を睨む。すると、校長は喧嘩上等だというように、僕たちに視線を向けられ、光のように手のひらをひっくり返す僕。すみません、調子に乗りましたと、ペコッと頭を下げている。それを見て校長はニヤリと悪い顔をする。
「毎年受験生のデータを取っているのですが、どの年にも私語をするというアホな生徒が現れてきます。そのような生徒は必ず、例外なく、この試験で死を迎えていますよ」
あっ、これって僕たちのことじゃね?ということは、ここは僕たちの試験会場であり、葬式会場なのでは?あっ、それなら最後の人生を楽しまなくちゃ。
「あきねぇ、僕は大富豪をしたいな!」
先ほどまで必死に頑張って作っていた完璧な姿勢を崩して、あきねぇの方向に体を向け、トランプを整理し始める。あきねぇは確実にトランプをしてくるという確信と共に……。
「え?どうしたのゆうと!お姉ちゃんが悪かったから、もうそんな目をしないで~~~」
あきねぇのポジティブなボケを止めることはできたけど、僕のネガティブな卑下は止まらなくなった…………。
ちなみに、試験の課題当てゲームはあきねぇがしっかりと、聞いていたのであきねぇの勝ち。
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