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彼の部屋へ
彼の部屋はすぐ近くだった。
部屋にあがって、まず私は、シャワーを浴びた。
私はされるがままだった。
私の頭の先からつま先まで、彼が丹念に洗っていく。
洗われながら、私は少しづつ感覚を取り戻していった。
シャンプーの優しい香りが懐かしかった。
彼が私を洗う指が、気持ちよかった。
私は、されるがままだった・・・。
バスルームから出ると、彼は私の体をタオルで拭き始めた。
「おまえ、瘦せすぎだよ。こんなに腰も細くて、ちゃんとメシ食ってんの?」
そう言うと、彼は私の腰に手を回して、ゆっくりと撫でた。
その指の感触で、私は背筋がゾクッとした。
ん・・・!
私は彼の顔を見つめて、首を横に振った。
「ほら、じっとして。頭も乾かすぞ」
・・・もう、あなたが聞いてきたから答えたのに、それはないでしょ。
「おまえ、洗ったら綺麗な顔してんだな」
そう言って私の顔を両手で包んで、自分の顔を近づけてきて微笑んだ。
彼のふっと笑った吐息が、私の鼻先をくすぐる。
私はピクンと反応して、そのまま彼の唇をペロッと舐めた。
「うわ、おまえ反則。・・・おとなしい顔して大胆だな」
そう言う彼の瞳は、楽しそうに見えた。
「ちょっと待ってろ。今、飲み物持ってくるから」
私を残してキッチンに入って行く、その彼のあとをついていく。
「こらっ、待ってろって言ったろ?」
・・・だって、あなたに甘えたいんだもの。
「・・・仕方ないなあ、じゃあ、こっちに来いよ・・・」
私は彼に寄り添い、甘えた。
「くすぐったい。おまえ、気持ちいいな。柔らかい・・・」
「そう?」
「あ、おまえの声初めて聞いた。可愛い声してんだな」
「そう?」
そのまま飲み物を用意してくれた彼とともに、リビングに戻った。
ふたりで彼の入れてくれたものを飲みながら、彼は色々と私に尋ねてくる。
「おまえ、行くとこあんの?」
私は下を向き、何も答えなかった。
「行くとこないなら、このままここにいてもいいんだぞ?」
私はふと顔を上げて彼を見た。
「・・・俺、おまえの事気に入ったから、帰したくないんだけど・・・」
私は驚いて、彼の瞳を覗き込んだ。
彼は笑って私の頭を撫でながら、
「おまえ、あの公園で捨てられたんだろ?そんな奴のことなんか忘れて、俺と一緒に暮らさないか?」
頬・・・あご・・・首すじと、大事そうな手つきで私を撫でる。
首すじを触られたところから、ゾクッと電流が走る。
撫でられながら、私もこの人と暮らしてもいいかな、と思い始めていた。
彼が私の体を抱き上げ、そのまま彼の膝の上に私を座らせた。
肩を撫でていた彼の手が、不意に胸元へ入り込んでくる。
私は思わずビクンと体を震わせた。
「・・・おまえ、ここも柔らかいんだな・・・」
反対の手が、背筋をすうっとなぞる。
・・・ああ、ゾクゾクする・・・!
腰から先をするすると撫でまわされたら、もう力が入らない・・・。
「ダメ・・・」
「何、おまえ気持ちいいの?」
彼は楽しそうに、
「ほら、ここも気持ちいいだろ?」
・・・ああっ・・・もっと・・・・・・!
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