待つ日と、待つヒト

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   私はとある人を待っている。  季節は暖かく、外で時間を潰すにはちょうどいい気温であった。  けれど昼を過ぎた頃から、灰色の雲が空を暗くさせた。  簡素に設けられた仮小屋の屋根に、たたきつける雨音は少しだけ激しい。  土に跳ねる飛沫は白く、辺りを見渡すには不鮮明で、まるで世界は閉鎖されたようであった。  リズミカルに落ちる水滴をただ当てもなく眺めていると、遠くから足音が耳に届いた。 「あの、ここで雨宿りしてもいいですか?」  不意に声をかけてきたのは、突然の雨に全身を濡らしてやってきた少年だった。  人の歳であれば十にも満たない姿で、人懐っこそうな顔が印象的だった。  どうぞ、という意味で私は座っていた場所を少しばかりずれる。  濡れた身体を震わせて飛び散った雨が、私の頬にあたったが文句は飲み込んだ。  
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