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「やっぱり訊いちゃうんだけどさ」
手を掴んだままスマイルくんの顔を見る。スマイルくんは必死になって手を振りほどこうとぶんぶんと振っているけど、あいにく僕は離すつもりはない。
「な、なんだよ」
「どうして今日、シロを連れて来たの?」
この問いかけには、鋭くメンチを切られてしまった。
(子犬が必死で威嚇してるみたいだ)
なんてことを思ってしまう。
「読んだならわかってるだろ」
――僕と話すきっかけが欲しいから。仲良くなったら告白したいから。
いじらしくて、でも外に出す言葉は素直じゃない。
「ねぇわかってる? スマイルくん、飼い犬に恋の行く末を心配されるほどなんだよ?」
生まれて初めて、愛しさから意地悪な気持ちが生まれてくるのを感じていた。
「君がノートに書いていた気持ちが嬉しいって、僕言ったよね。それって、僕的にはもう告白の答えを出したつもりなんだよ」
くそっ! とスマイルくんが毒づいた。
「……き、木崎くん」
いつの間にかシロも目を覚ましていて、スマイルくんの恋の告白の応援をするように見守りの態勢だ。
「お、俺は――」
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