ネコちゃんがライオン※

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 ネコちゃんがライオン※

思わず見惚れてしまうなんてことが本当にあるのかと、自分でも驚いた。  確かに彼の外見が人並み以上に整っていると言うこともあると思うけど、それよりもとにかく俺のタイプなんだろう。  きめ細かくて繊細な白い頬を撫でると、暖色の照明を映した色素の薄い瞳が揺れた。すでに睫毛が触れそうなほどに顔を寄せてから、「キス大丈夫?」と俺はレオンに尋ねた。  ラブホテルの一室で、シャワーを浴びてバスローブを羽織ったままだ。バスルームから出てきた彼の首元がしっとり水気をはらんでいて、俺はたまらずその手を引いて、早々にベッドに押し倒したのだ。上に跨っても押し潰してしまいそうな不安定さがなく、その強かな美しさが俺を昂らせていた。  レオンはシーツに沈んで俺を見上げたまま、何か不思議そうに瞬きをした。  もしかして、言葉が上手く通じていないのかもしれない。俺は目の下あたりに軽く唇を当てた後、指で彼の唇をなぞった。 「ここ、いい?キスしても」  どうやら俺の問いは通じたらしい。レオンは手を俺の首の後ろに回すと引き寄せるように力を込めた。俺はその手に促されるまま、レオンの唇にキスを落とす。ゆっくり堪能するみたいに唇をなぞってから入れ込むと、レオンの熱い舌が俺の舌を絡めとる。弄りあうように絡まり合って、時々確かめるみたいに唇を離してわざとらしい音を鳴らした。  なんだかがっつかれてるみたいで興奮する。キスの仕方が若いな、なんて思ってしまった。  下腹部に手を伸ばすと、案の定若い彼の性器はすでに熱を持って固くなっている。キスをしながら軽く手で包み込んで上下しただけで、反り返るほどにバスローブを掻き分けて起き上がった。 「レオンくん……一回出す?……おわっ!」  突然レオンが体を起こしたので、上に乗っていた俺は危うく彼の性器を握ったまま後ろに倒れそうになった。でも、その前に俺の背中に手を添えてレオンに支えられる。  座って向かい合うような体制になると、レオンも俺の下腹部に手を伸ばした。 「んっ……」  大きくて熱い手で包み込まれて、俺は小さく息を漏らした。レオンは俺の反応を確かめるみたいにじっと見つめた後で、ゆっくりとその手を上下させている。 「一緒にしたいの?」  俺はそう問いながら腰を突き出し、二人の性器が触れ合うほどに体を寄せた。  やっぱり外人って日本人の平均よりデカいな、なんて無粋なことを考えながら、片手ではなかなか扱いきれないレオンのそれを俺は自分のものと一緒に両手でつつんだ。  すでに先走りを垂らしながら、ドクドク脈打つそれを擦り上げると、レオンがその綺麗な顔を少し歪めて堪えるように眉間に皺を寄せている。  白い肌が蒸気して、唇の間から溢れる吐息がたまらなく俺を興奮させる。その隙間にまた舌を入れ込み、口内を弄りながらピストンを早めると、若い性器からあっけなく白濁が溢れ出した。 「イッちゃったね、レオンくん可愛い」  可愛いと言う言葉は言わずにいられなかった。本当は魅力的すぎる姿に身悶えしたいほどだったが、そこをグッと堪えつつ彼の額に唇を当てて音を鳴らした。 「後ろしよっか?」  一応確認のために聞いてみたけど、レオンは黙ったまま何も答えなかった。また上手く通じなかったのだろうけど、まあ、やってればわかるだろう。  俺はティッシュでレオンのものを受け止めた手を拭ってから、ベッドサイドに用意していたローションとコンドームに手を伸ばす。 「おわっ!」  背後から腰をかかえて引き寄せられて、俺はまた驚いて声を上げた。  意思の疎通がうまく行っていないせいなのか、レオンは少々予想外の動きをする。後ろから俺の体を抱きしめながら、バスローブの袖を引いて露わになった俺の首筋に、レオンが唇を押し当てる。そして手がするりと前に回って、再び俺の性器を包み込んだ。 「慎さん、まだ、でしょ?」 「え、んっ……」  大きな手だ。指が長くて、熱い。それが少しだけ強引な圧力で俺の性器を扱いている。 「んっ、あ、レオンくん、お、俺は……」  先走りがぐちぐちと音を立てた。  身を捩ってどうにかリードする体制に持ち直そうと試みるが、ガッチリ腰を抱え込んだレオンの腕の力が強い。 「あ、レオンくん……まって、君の中で気持ちよくなりたい、か、らっぁっ!」  包んだ手の圧力が強まり、もう片方の手がこねるように先端を撫でた。思わず息が止まって体が跳ねる。レオンの腕をギュウと握りしめたが、俺の意思は通じなかったらしい。 「んっ……レオンくん、まって…ぁっ、くぅっ…!」  緩められることのなかったその動きに、俺の快感が上り詰めて背筋が震えた。その直後、先端から白濁がレオンの手のひらに溢れ出す。  脱力しかけた俺を支えながら、レオンは肩から覗き込むように俺の頬にキスをした。少しそちらに顔を向けると、俺の様子を確かめるみたいなほんの少し不安げな表情が可愛すぎて、俺はほとんど無意識に彼の口に唇を寄せた。 「あんまりちゃんと言葉通じてないのかな……」 俺が呟くとレオンは小首を傾げた。可愛い。 「レオンくん、俺にリードさせてくれない?気持ち良くしてあげたい。わかる?」  向かい合ってレオンの手をティッシュで拭ってあげながら、俺はその綺麗な顔を覗き込んだ。レオンは俺の目を見ながらまた何か考えるように瞬きをしたあとで、こくりと頷いた。  本当にわかったのか疑わしいが、とりあえず、気を取り直して再びベッドサイドのコンドームとローションに手を伸ばした。  しかし、何を思ったのか、レオンは俺が手にしたそれを流れるように奪い取る。 「ん、違うって、レオンくん。俺がしてあげるから。それは俺の」  レオンは俺の言葉がわからないのか、コンドームの袋を破り自らの指に被せている。気を遣って自分で慣らすつもりなのか、その手にローションを垂らした。 「ねえ、俺にさせてって。レオンくん、えーっとit's mine」  俺はレオンの手首を掴みその動きを止めようとした。 「レオンくん、わかる?俺の言ってること」  子供でもあやすみたいに、俺は極力言葉尻を優しくしながら、レオンの顔を覗き込む。 「うん、わかる、だいじょぶ」  レオンが答える。  ほんとかよ、と思ったその瞬間、レオンが俺の背後に両腕を回した。片手で首のあたりを押さえ込まれて引き寄せられる。俺の顎はレオンの肩にのって、お互いはだけた胸元の汗ばんだ皮膚が触れ合った。 「わっ!ちょっ!」  触れられた瞬間ヒヤリとした。  背後に回ったレオンの手が、バスローブを捲し上げて俺の尻に触れたのだ。そしてコンドームをつけてローションで濡れた指先が、侵入しようと俺の孔の周りを緩やかに撫でた。 「ちがうちがう! レオンくん! ストップ! ドントタッチ!」  慌てて肩を押すが、さらに強い力で抱き寄せられてびくともしない。若さだけでなく体格からいって彼の方が力が強いのは明らかだ。  あたふたしているうちに、いきなり2本の指が俺の中に滑り込む。結構中の方まで入れ込まれて、俺は息を飲んだ。 「う、うそ、ちょっと、そっちはしたことないんだって……!」  俺の鎖骨を甘噛みしながら、レオンの長い指が中を弄ぶように揺れ動いた。 「なっ、ちょっ、おい、やめっ…んっ、あっ、んっ?」  俺が初めてってネコちゃんや、あまり経験のない子とは何度か寝たことがある。だから、俺は知っている。慣れないうちは、後ろはなかなか気持ち良くならないはずだ。俺がしてあげる時も、かなりゆっくり優しく慣らしてあげた。  それなのに、おかしい。 「んっ……くぅっ、な、なんでっ」 --おかしい、なんで、いきなりこんなに気持ちいいんだ⁈ 「慎さん、ここでしょ?気持ちいい?」  抱き寄せた俺の耳元に口をつけながら、レオンが囁くようにそう言った。 「あ……んっ……ちがっ、レオンくん、違うって」  違う。そう、口で言って、頭でも明確な言葉にしているというのに、俺の体はみるみるうちに抵抗する力が弱まっていく。あっけなく、その感覚に身を委ねようとしているみたいだ。  レオンは俺の中を指でほぐしながら、押さえ込むように、俺の体をシーツに沈めた。仰向けのまま抱え込まれて足を絡められ、まるでプロレス技でもかけられているみたいだった。びっくりするくらい身動きが取れない。身体中の感覚が全て背後の指に持っていかれる。性器の付け根を内側から小刻みに押されて、俺は逃げ場なく腰が浮くような感覚に思わずレオンの腕に縋りついた。 「ダメだ、そこ、ぁっ、レオンくん、んっ、待って!」 「慎さん、中、ぎゅってしてる、可愛い」 「あっ、そこ、んんっ、押すなって……っ!」  いや、もう完全に。レオンくんはネコじゃなかった。ネコちゃんどころかライオンだ。たぶん、バーでしたあの質問の意味を彼は理解していなかったんだ。  あまりに好みだったから、ネコだと思い込みたかった俺の自業自得かもしれない。もっとちゃんと、確認すればよかった。 「あっ! んんっ……!」  粟立つような快感が背中を走り、視界の隅が一瞬ショートしたように揺れた。今明らかに、軽くだけど後ろでイッたっぽい。初めてでこんなになるなんて、どうなってんだ、俺の体。 「中ビクビクしてる、入れたら気持ちよさそ」  耳元で囁かれ、背中からみるみる血の気が引いた。 レオンは俺の中から指を引き抜くと、脚をかかえて俺の体を引き寄せた。 「うそだろ! 待った! レオンくん、違う! 俺はネコじゃない!」  今度は自身のそりかえるほどに硬くなった性器にコンドームをつけているレオンの姿に、俺は焦って訴えた。 「ん、知ってる」 ーーいや、知ってんのかい!!  俺の心のツッコミを言葉にする前にレオンが唇で俺の口を塞いだ。下唇を吸ってちゅうちゅう音を鳴らし、舌を入れ込み絡みとってくる。  唇を触れ合わせながら、レオンは俺の膝の裏に手を入れて抱え上げた。腰を当てて、俺の孔に熱い性器が押し当てられる。いよいよやばいと俺は両手でレオンの肩と腰をぐいぐい押したが、手首を掴まれあっけなくシーツに押さえつけられる。 「レオンくん! 怒るよっ! ダメだって…んっひぃっあぁっ!」  皮膚を押し広げられた感覚で、俺は悲鳴に近い声を上げた。脳裏に浮かぶのはさっきこの目でしっかりと見た、かなり大きなサイズのレオンの反り返った性器だ。あれが、入ってるって、やばい。  レオンはゆっくり腰を沈め、俺の中を押し広げていく。下半身を押さえつけられるような重たい感覚に息が止まるが、それ以上に予想外の感覚に俺は驚愕している。 「んっ……くぅっ、あ、あ、なんでっ、うそ、だろ」  初めて受け入れる俺の孔に押し込まれたレオンの性器が隙間なく、俺の中を埋めていく。バカみたいな言葉が頭に浮かんで、どうやら俺はそれを口に出していた。 「……シンデレラフィット!!」  耳元でレオンが笑った。 ーーえ、てことは…意味がわかったということなのか? 本当はこの子日本語ペラペラなんじゃっ…… 「んっ、ぁっあ!」  抵抗を諦めたような俺の様子に、抑える必要が無くなったと判断したのか、レオンは上半身を起こして腰を突き出し揺らし始めた。
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