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セーラー服の少女の名は小夜子
その少女に初めて会ったのは僕が十歳のときであった。
「ほら危ないよ」
その少女は横断歩道を渡ろうとした僕のパーカーのフードをひっぱり、歩みをとめた。
急にひっぱられたため、僕は咳き込んだ。
「なにするのさ」
僕はその少女に咳き込みながら、そういった。
振り向くとセーラー服の少女がたっていた。
「ほら、見てみなよ」
セーラー服の少女が道路を指差す。
一台の自動車が猛スピードで走りすぎていった。横断歩道の信号は青だというのにだ。
セーラー服の少女がパーカーのフードを引っ張ってくれなかったら、僕は間違いなくあの信号無視の車にひかれて、死んでいただろう。
そう思うと背筋が寒くなった。
「あ、ありがとう……」
僕はお礼を言う。
「いいよ、私はあんたの守護霊で小夜子っていうんだ。よろしくね明彦くん」
かわいい笑みを浮かべて小夜子は言った。
それが自称僕の守護霊小夜子との出会いであった。
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