四組目

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 男たちの会話など知る由もなく、颯爽と曲がり角にさしかかるアルエルピタロウーマン。次の瞬間、何かと正面衝突し尻餅をついた。 「いたたた……」 「ご、ごめんづら。大丈夫だか?」 「えへへ、だいじょぶだいじょわあっ!?」  アルエルピタロウーマンは驚愕した。巨大な顔面が視界いっぱいに広がっていたからだ。 「脅かしてすまんづら。オラ、人間とギガンテスのハーフ、“ギガヒューマン”なんづら」 「ギガンテスって、巨人族の?」 「そうづら」 「だから頭だけ大きいの?」 「そうづら」 「ふーん」  アルエルピタロウーマンのきょとんとしたリアクションに気まずくなったギガヒューマンは、でかい顔をそむけた。 「ほんじゃ、オラはこれで」  そう一言挨拶しそそくさと立ち去る。数歩進んだところで背後に気配を感じ、ピタリと止まった。 「……なんでついて来るづらか?」 「あたしね、頭にお花が咲いてるの」 「飾りじゃないんづらな」 「それであたしね、おひさまにあたるの好きなんだけど、あたりすぎちゃうとお花がしおれちゃうの。そしたらあたしも元気なくなっちゃうの」 「そりゃ難儀づらな」 「ママみたいにいつも日傘を持ち歩けばいいんたけど今日は忘れちゃったの」 「ははあ。それでオラを日除けとして使ってるづらね」 「うん! ダメ?」  満面の笑みで問われたギガヒューマンは、大きな顔面をほんのり紅く染めた。 「ダメ……じゃないづら。むしろうれしいづら。正直オラ、自分の顔が嫌いだったづら。なによりみんなもオラのこと恐がって近寄らなかったづら。だから初めてこの顔が誰かの役に立てて良かったづら」 「じゃあもっと役に立たせてあげる! これからもあたしの側にいていーよ!」 「……ま、まあいいづらが。なんか複雑づら」  こうして二人は仲良くなり、数年後流れで夫婦となった。
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