柴犬の様なその人は

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 僕の仕事は、「何でも屋」。  仕事内容は、その名の通り何でも。依頼主から頼まれたことは、何であろうと断らず何でもやる。とは言っても依頼はあまり来ないから、僕は主に、朝夕二回の戸田さん家のショータローの散歩と、岡部さんがやっている居酒屋の手伝い、あとは商店街の掃除をしている。  従業員は、僕と所長の二人だけ。前に、他に従業員を雇わないのかと聞いたら、「そしたら、僕か君かのどっちかが辞めなきゃいけないな」と、さらりと怖いことを言われてしまった。確かに、仕事が特殊な分、経営は難しいのだろう。事務所だってちゃんとしたオフィスはなく、商店街の外れにある、所長の自宅の一階にデスクを置いて使っている。勿論、給料も少ない。  しかし、僕はこの仕事が出来て幸せなのだ。
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