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「ヒデのおじいちゃんは、天国へ行ったんだよ」
「じゃあ、駄菓子屋のおばあちゃんと一緒に天国で会ってるね」
「え、おばちゃん、いつ亡くなったの?」
「んー、僕がまだゆり組だった頃」
この子は小学二年生ぐらいかな。数年前にはもう亡くなっていたのか。コロナ禍で何年も帰省してなくて、全然知らなかった。
「ヒデはどうなるの?」
「ヒデは引っ越して、私たちと一緒に暮らすんだよ」
その言葉を聞いた途端に、男の子の表情が曇ってきた。
「そうなんだ。ヒデ、もう会えなくなっちゃう……」
目に涙をいっぱい浮かべて、こぼれ落ちる前に腕で拭った。ヒデの首に抱きついて、グスングスンと泣いた。
「ヒデはずっと僕の友達。引っ越しても忘れないでね」
口を歪ませてヒデのためにポロポロと泣いてくれた。その思いにつられて、子供たちも涙ぐんでいた。私も危うく気持ちが引っ張られそうになった。その子の気が済むまでしっかりハグをさせた後に、お互いに手を振って別れた。ヒデと会うのは、彼にとってもう最後になるかもしれない。
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