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両手に納まるほどのミニサイズのパンダ『リーリー』は、シャオランが口寄せして呼び寄せた式神だ。本来忍者が口寄せの術を発動しないと式神は出現しないのだが、最近ではリーリーの意思で勝手に出現するようになった。
三人の忍者の師匠であるコンガは、「口寄せせずに勝手に出てくるなんて、どうなってんの?!」と困惑していた。
しかしリーリーを呼び寄せたシャオランは気にも留めていない。リーリーといると癒されるから嬉しいとのことだ。
シャオランはリーリーを抱っこしながら、フルーツサンドを届けに行った時のことを思い出す。
「咲耶さん、変わり身の術でウエディングドレス姿になっていましたね。とってもきれいでした」
【そうそう。シャオランは幼稚園生、ネムは関西の食い倒し人形の格好だったよね】
ウエディングドレス、幼稚園児、食い倒し人形の恰好とは、目立たないように変わり身の術を使ったつもりが、逆に目立つ結果となった。まだ忍者の卵である三人は、自分の思ったように忍術を扱えないことがネックであり、今後の課題となっている。
「皆なんであの姿になったんでしょう?」
「さあ、おじいちゃんなら知っているんじゃない?」
咲耶の言うおじいちゃんは、甲賀忍者の長を務める岩爺だ。今回のCMオファーの話を聞いたら、狂喜乱舞で祝いの宴を開くに違いない。
「で、風魔シティでウエディングドレス姿になったのをスカウトマンに見られていたと…。いいじゃん。アイドルオーディション受けるより、オファー受けたほうがすぐに目立てるじゃん」
しかし咲耶の返答は予想を裏切るものだった。
「うん、でもこのオファー断ろうかなって思ってるの」
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