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甲賀忍者の卵であり、女子高生の咲耶は悩んでいた。
自身がスマホで配信するNinTubeの動画を投稿する頻度が一日一桁に落ちるくらいに。いつも飽きるまでアイドルソングを歌う練習をしているのに、「今日は休もうかな...」とサボるくらいには。
一応友人として咲耶のNinTubeをフォローしている甲賀忍者のネムとシャオランは咲耶の異変に気付いていたが原因が思い当たらず、ふたりの頭の中は疑問符が飛び交っていた。
「なあ、シャオラン」
「なんですか?」
「咲耶どうしたんだよ、見るからに悩んでるみたいだけど」
「私も知らないんです。どうしたんでしょう...?」
シャオランは心配そうな表情をして、さっきから部屋でずっとスマホを弄る咲耶を見る。
「こういう時は、直接本人に聞くに限る。おーい、咲耶」
「なに? 私今、雛のん氏のひよこパニック見てるんだけど」
ネムが尋ねると咲耶はNinTubeの動画配信を止め、今いいところなのにと不満げに唇を尖らせた。
「最近、動画配信の頻度が減って、こっちは気になってるんだよ」
ネムの言葉の中には心配も含まれているが、変なところで遠回しな表現になってしまう。
「ああ、そのことか。やっぱり気づいちゃう?」
「分かりますよ」
シャオランがぶんぶんとネムの言葉に同意するように首を縦に振る。
すると「そっか」と咲耶はぽつりと独り言を漏らした。
「うぅん、ちょっと悩み事があってさ。聞いてもらってもいい?」
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