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犬と意思疎通したい
「あれ? これってちょっと前に流行ってた【バウリンガル】ってやつじゃない? お母さん、どうしたの?」
「リサイクルショップで売ってたの。大ちゃんに、どうかなーって思って」
「もー、すぐ無駄遣いするんだから」
「無駄遣いなんかじゃないわよ。大ちゃんとお話できたら素敵じゃない? ねー、大ちゃん」
母がそう話しかけると、我が愛犬…柴犬の大吉、通称・大ちゃんは『わん』と返事した。
「貴重な愛犬との時間……プライスレス」
威張って言うけれど、
「一体、いくらしたの?」
私が聞いたら、今年、55歳になる母は黙った。
都合が悪くなると、すぐに黙るか聞こえないふりをする。この分かり易い癖のおかげで、なかなかの金額だったのだろうと私は予測できた。
無理矢理話題を変更させて
「さあ、早速つけてみよー!」
母は、大ちゃんの首輪に、犬の気持ちが表示されるというその機械を取り付けた。
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