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今日は十一月二十六日。『いいふろの日』。
その語呂合わせにちなんで、近所の銭湯が無料開放されることになった。
無料ということで混雑を予想していたが、時間帯がよかったのか、銭湯には俺以外の客がいなかった。
大きな湯船につかり、全身を伸ばす。
家にも風呂はあるけれど、広い湯船につかるのは格別だ。
ああ、身体の底から癒される。癒され過ぎて、まるで湯に溶けてしまいそうだ。
* * *
「今年も『いいふろの日』は繁盛したねぇ」
「無料ってだけで、たくさんお客が来てくれたな」
「あれだけたくさんの人間が溶け込んだんだ。うちの銭湯の湯舟は、またこれで新品同様に使うことができるだろうよ」
「来年も、『いいふろの日』は、客寄せの無料開放を実地しようね」
いい風呂の日…完
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