15.私、女の子の友達ができたの初めて!

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15.私、女の子の友達ができたの初めて!

 キースは仕事があるようで教室から去ってしまった。  そのことが少し寂しく感じる自分がいて、やはり自分は彼に惹かれていると再確認した。  先程の自己紹介の時も、きっと私はうまくやれなかったのに彼が助けてくれた。  私のことを優しい見守るような目で見てくれるのも、彼が初めてかもしれない。   キースは私の代わりに陛下に抱かれても良いと言っていた。  それは、彼が女だけでなく男もいけるということを示していた。  私は彼のことを好きになると、恋のライバルが女だけでないことを知った。 (私に口づけしたし、嫌われている訳じゃないよね⋯⋯)  「ねえ、カリナ様、今の授業時間は先生はいないんですか?」  「今は、自習時間。魔法のコントロールを教えているレイリン先生が体調不良なんだ⋯⋯それより、ルカ! 私は友達だから敬語は禁止! 校長先生にタメ口なのに、なんで私には敬語なのよ」  カリナが楽しそうに笑っている。  そういえば、彼女は私と友達になってくれると言っていた。    「カリナ! 嬉しい! 私、女の子の友達ができたの初めて!」  私がそう言うと彼女は笑顔で微笑んでくれた。  「じゃあ、ルカちゃん。俺も友達からはじめよっかな。君と俺って相性良いと思うよ。俺のこともマリオって呼び捨てにして、敬語も禁止で」  マリオが口説きモードを封印し、握手をしようと手を出してくる。  友達からはじめて何を目指しているのかは不明だ。  相性が良いと言うのは、火の魔法が暴発しても消化してくれると言うことだろう。  (私は魔法を狙って出したことはないわ⋯⋯そもそも、あの時の炎を自分で出した自覚もない)    「マリオ! 宜しくね。魔法のコントロールが実は全然できないの。怒ったりした時に、ブワって火が出ちゃう感じで」  私がマリオの握手しながら言った言葉に急に周りが騒ぎ出した。  「ルカちゃん⋯⋯ここ、地下なんだよね。ブワってされると流石に火のまわりが早いと思うんだ。俺も対応できるか不明だから、治癒魔法のコントロールから練習したら?」  彼の言う通りだと思った。  地下にある魔法学校は空気も乾燥しているし、火がまわってしまうと大変なことになりそうだ。  先程、カリナが治癒魔法の力を分けてくれたと言っていた。    「ルカ! 傷や病気を治したいと思って触れるだけで良いからやってみて! とりあえず、さっき殴ったマリオの頬の赤みをとってあげたら?」  カリナが笑顔で提案してくる。  彼女はモリアとそっくりだが、私が双子かと聞いた時に困惑した表情をした。  私はモリアに対しては恐怖心と憎しみがある。  カリナのことは大好きで、モリアとは無関係な相手として接したい。  だから、彼女の見た目がモリアと似ている事はもう気にしないことにした。    「痛いの飛んでけー!」  私がマリオの頬を触れながら念じると、彼の頬の赤みがひいた。  「ルカちゃん⋯⋯痛いの飛んでけーって可愛過ぎ⋯⋯」  マリオが赤みの引いた頬を撫でながら笑っている。    「できた! 結構、簡単かも」  「多分、ルカは魔法のセンスがあるんだよ」  カリナが横から伝えてくれるセリフに嬉しくなる。  「じゃあ、火の魔法もコントロールできるかな」  「怒った時に出たっていう火の魔法は魔力の暴発だと思う⋯⋯火の魔法のコントロールの仕方ってどうやるんだろう⋯⋯」  カリナの言葉に、周りの生徒たちも首を傾けている。  火の魔法というのは、そんなレアな代物なのだろうか。  「それは、僕が個人レッスンするから、来て、ルカリエ!」  キースが突然目の前に現れて、びっくりした。  瞬間移動みたいな魔法だろうか、そんなものも使えるなんて本当に凄い。  「じゃあ、みんな、また明日ね」  私はキースの手を取ると、瞬間移動で校長室に来た。  「キース! 私、今まで生きてきた中で今日が1番楽しかった」  私が今日の感想を伝えると、キースが微妙な顔をした。  今日は気になる人ができて、友達もできて、みんなが私を見て笑ってくれた日だ。  「どうしたの? 何かあった?」  「ルカリエ⋯⋯魔法学校に通うのは、国王陛下が許さなそうだ」  キースの言葉に私は彼が仕事と言って消えたのは、私の為にレオを説得に言ったのだと悟った。  レオは私を魔法学校に入学させてくれる気はなかったのだろうか。    「私がレオを説得するから平気。また、明日も絶対来るから」  「王城まで送るよ。本当に、今晩、君の代わりをしなくても平気?」  「平気だよ。私のこと心配してくれるってことは、私のこと好きなんだよね」  「嫌いじゃないよ」    私はキースの言葉に嬉しくなった。  嫌いじゃないということは、好きということだ。  そして、私がレオに抱かれるのを嫌がるということは、キースは恋愛的な意味で私を好きなはずだ。     
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