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『ぼくは、戦う覚悟はあるけど、確かに小さいから、やられるのも目に見えてる。そこで、詩乃ちゃんに、ぼくの(きば)や、鋭い(つめ)や、強靭(きょうじん)筋力(きんりょく)を貸してあげようと思うんだ』 『牙や、爪や筋力! それで私が戦うの? 強くなるかな』 私は、自分に牙が()えて、手には鋭い爪を持ち、ジャンプしてキックをしているところを想像した。勝てるかも! 『本当に、そんなことができるの?』 『できるよ。そうやってぼくたちは、大昔から人間を助けてきたんだ。そのかわり、詩乃ちゃんも、何かぼくに貸してほしい』 私が、エイトに? 何か貸せるものなんてある? 『何を貸してほしいの?』 『人間の知能。人間って何を考えてるか、知りたいんだ』 それでエイトがいいって言うなら。 『私の知能を貸したら、私は犬の知能になるってこと?』 『そうだよ。ぼくは、賢い犬だから、小学生ぐらいの知能はあるし。普通に生活するなら大丈夫だよ』 『小学生……。わかった、やろう。私、本当に強くなれるかな』 『なれるさ。じゃあ、取り換えっこするよ!』 エイトが、そう言うと、暗闇だった世界が光に包まれた。 何も見えないほどの光!
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