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④
『ぼくは、戦う覚悟はあるけど、確かに小さいから、やられるのも目に見えてる。そこで、詩乃ちゃんに、ぼくの牙や、鋭い爪や、強靭な筋力を貸してあげようと思うんだ』
『牙や、爪や筋力! それで私が戦うの? 強くなるかな』
私は、自分に牙が生えて、手には鋭い爪を持ち、ジャンプしてキックをしているところを想像した。勝てるかも!
『本当に、そんなことができるの?』
『できるよ。そうやってぼくたちは、大昔から人間を助けてきたんだ。そのかわり、詩乃ちゃんも、何かぼくに貸してほしい』
私が、エイトに? 何か貸せるものなんてある?
『何を貸してほしいの?』
『人間の知能。人間って何を考えてるか、知りたいんだ』
それでエイトがいいって言うなら。
『私の知能を貸したら、私は犬の知能になるってこと?』
『そうだよ。ぼくは、賢い犬だから、小学生ぐらいの知能はあるし。普通に生活するなら大丈夫だよ』
『小学生……。わかった、やろう。私、本当に強くなれるかな』
『なれるさ。じゃあ、取り換えっこするよ!』
エイトが、そう言うと、暗闇だった世界が光に包まれた。
何も見えないほどの光!
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