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⑥
次に目を開けると朝だった。
起き上がると、ドアの所にエイトがいる。
『おはよう。詩乃ちゃん』
一瞬息をのんだ。そうだ、昨日わたしとエイトは心の世界で話せるようになったんだ。そして、お互いの能力を取り換えっこして……。
『エイト! やっぱりわたし何も変わってないよ。これじゃまた、タマにいじめられるよ……』
『詩乃ちゃん。大丈夫。君はきっとうまくやれるから。ぼくを信じて。それから、自分を信じて思う通りにするんだ』
小さいトイプードルのエイトだけど、その思いは力強く伝わって来てる。わたしは胸のあたりが熱くなるのを感じたよ。
『なにをどうしていいか、わからないけど、自分の信じることをするよ』
エイトは、尻尾を振ってわたしに飛びついてきた。わたしもエイトを抱きしめる。エイトが頬をなめてくれる。くすぐったいって!
学校に行かなきゃ。その前に朝ご飯。
「詩乃ちゃん! 大丈夫? 夕べは詩乃ちゃん寝ちゃったから、起こさなかったの。何かあったの?」
お母さんがわたしのことを心配してくれている。
いじめのことは、タマと決着をつけてから話すよ。
「昨日、体育でマラソンしてね、疲れちゃったの」
「そう……。体調はいいの? 学校に行ける?」
「うん。行ける、行ける。なあエイト!」
空中にパンチをしながらエイトを見る。
エイトは、
「ワン!」
とひと吠え。
「そう。何か、やたら元気ね」
お母さんがニコニコしてくれた。元気が出たよ!
朝食を食べたわたしは、玄関でエイトに挨拶。
『行ってくるぜ!』
エイトも前足をあげて挨拶。
『ドッグラック、じゃないグッドラック!』
笑わしてくれるじゃんエイト。
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